2020年11月2日月曜日

牧師エッセイ(11月)

北海道の天売島(てうりとう)は世界有数の海鳥(ウミネコなど)の生息地で、「海鳥の聖地」と呼ばれています。
しかしノラ猫の増加によって、貴重な海鳥が捕食され激減するという問題が起こった、という記事を読みました。
そこで島をあげて取り組まれたのが「『人と海鳥と猫が共生する天売島』連絡会」です。
島の全てのノラ猫を対象に去勢・避妊手術を徹底し、飼い猫の完全室内飼い指導や、130頭のノラ猫の保護と105匹の譲渡(里親探し)が行われました。
近年ではノラ猫はほぼゼロになったそうです。

驚くべきことにこの働きをリードし続けたのは「北海道海鳥センター」の人々でした。
彼らにとって猫は海鳥を捕食する害獣です。単に殺処分を依頼することもできたはずでした。
「敵」ともいえる猫一匹一匹のいのちに寄り添い、共生するための働きの中には、「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。(マタイ5:44)」とキリストが語った愛を見えてくるような気がします。

神様は私たちがどのような存在であっても赦し、そのいのちを尊いものとしてくださっています。
私たちもその神様への信仰のゆえに、他のいのちに寄り添う愛をもって誰かと関わってまいりたいと思います。