2021年12月8日水曜日

今週の黙想文(ルカ1:30)

「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。」
──ルカ福音書1章30節


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天使が告げた受胎告知の言葉と裏腹に、マリアの心境はこの先の不安でいっぱいだったでしょう。
ましてやお腹の子どもは夫ヨセフの子ではありませんでした。
このことが明るみになれば、マリアは石打ちの刑で殺されていたかもしれません。
マリアがここで生きるか死ぬかの窮地に陥っているにもかかわらず、それでも天使は「恵みをいただいた」と告げるのです。
私たちの世界が、人が人を一方的に断罪し、自らの正義をもって一方的に傷つけ、ついには殺してしまうような世界であることを、罪に満ちた世界であることを、キリストはその生涯を通して私たちに教えられました。
だからこそ、『あなたはこんな世の中でいいと思うか?』という神様からの永遠の問いが、ここにあるのです。
キリストが教えられたように、私たちの手が他の誰かを傷つけ殺すためではなく、支え助けるために用いられるとき、マリアにとっての受胎もまた、社会的な危機としてではなく、神様からの「恵み」として受け取られていく、そういう世界に神様は導こうとしておられるのです。
だからこそ私たちに与えられる救いとは、この世にあってキリストという生きる指針を与えられることから始まるのです。
 
(20211205週報記載)


……今週の黙想とは……


日曜日だけではなく、平日においても聖書の言葉に触れる機会として用いていただければ幸いです。
引用されているみ言葉だけでなく、聖書を開き、その前後や他の箇所を開いてみましょう。
そして、そこに生きていた人々に思いを馳せ、そこにあなたも生きていて、語りかけられているという気持ちで読んでみましょう。
自分はみ言葉を聞いてどのように感じたかを大切にし、ゆったりと考えてみてください。

あなたの日々がみ言葉によって豊かにされますように。