2021年12月6日月曜日

牧師エッセイ(2021年12月)

実は、イエス・キリストの誕生日が正確に何月何日だったか、ということは今でもわかりません。
キリストの活動期間は3年程度でしたし、キリストの十字架の後はクリスチャンも長く迫害されたからです。
ですから、その中で最も重要であったのはキリストの誕生日の日付ではなく、キリストが私たちを救うためにこの世に生まれたということであったのです。

キリスト教が迫害を抜け、今のように世界三大宗教となる転換点となったのは、強大なローマ帝国がキリスト教を国教とした時からです。
当時のローマ帝国にはミトラ教という太陽神を奉る宗教があり、最も日が短くなる冬至に、これから太陽神が再び生まれる(だんだん昼が長くなっていく)ことを祝うお祭りをしていました。
クリスチャンたちもこのお祭りに参加していたそうです。
もちろんそこでも彼らは自分たちの信じる神様──イエス・キリストについて、救いの体験を語ったことでしょう。
「太陽は私たちに光を注ぎ、大地の恵みを与える。キリストもまたそれと同じように私たちの心に光を注ぎ、私たちを新しいいのちへと生かしてくださるお方なのだ」と、合わせてお祝いをしていた姿が見えてくるかもしれません。

こうして国教となったキリスト教に対し、ミトラ教は衰退し、太陽神の誕生日であった12月25日がイエス・キリストの誕生日となった、という説があります。
これでは12月25日のクリスマスは後付けではないかと思われるかもしれません。
しかしここで大事なのは、正確な日付ではなく、私たちがイエス・キリストの誕生を喜んでお祝いするという日があることが大切なのです。

そもそもキリスト教で日曜日が「主日」と呼ばれているのは、元々はキリストの復活、二度目の誕生日を祝うための日だからです。
主日のたびにみ言葉を通して私たちをも新しいいのちに生かしてくださる、そういう神様(=主)イエス・キリストが、この世にお生まれになったというお祝いの日、主日の一つとして、12月25日のクリスマスが定められていったのです。