2021年2月8日月曜日

牧師エッセイ(2021年1月)

2019年度興行収入1位となった映画に、新海誠監督の「天気の子」があります。
祈ると天気を晴れにしてしまう少女と家出少年の二人が主人公の物語です。
少女の「祈り」によって、思いもよらないかたちで世界が変わっていくというストーリーですが、ここにはもう一つの祈りがあります。
サブタイトルに「Wethering with you」と付けられている通り、「あなたと一緒に困難を切り抜ける」という意味が込められています。
少女の祈りによって大きく変わっていく世界の中で、もう一人の主人公・何の能力もない家出少年はそれでも最後まで彼女に寄り添おうとするのです。

ラストシーン、彼の心が映し出されるようにして流れ始める主題歌「大丈夫」にはこのような歌詞があります。

「君の"大丈夫"になりたい
 君を大丈夫にしたいんじゃない
 君にとっての"大丈夫"になりたい
 (RADWIMPS「大丈夫」)」。

無力な少年は彼女を守る力を求めるのではなく、ただ寄り添い支え合い、共に困難を切り抜けることを通して彼女の「大丈夫」を祈るのです。
それは奇跡的な力によって一方的な救いをもたらすだけではなく、共感と寄り添いによって平安をもたらすキリストの祈りと教えに響きあうものではないでしょうか。

新型コロナウイルスという嵐の中にいる私たちに、それでも私たちの心に寄り添い「大丈夫」と言ってくださる神様がおられます。
そして私たち一人ひとりが誰かの「大丈夫」となるように立たされています。私たちもまた、その祈りを誰かのために捧げたいと思います。