2021年11月8日月曜日

牧師エッセイ(2021年11月)

神戸市にある「小さないのちのドア」をご存知でしょうか。
思いがけない妊娠や、子育てに孤独や困難を抱える女性のために、24時間365日相談に応じる施設です。
この働きは「マナ助産院」の院長でもある永原郁子さんという助産師の方が「女性たちの拠り所となる」という理念から助産院に対面型の相談窓口を開設したことから始まりました。
開設して一年で相談件数は1500件近くあったと言います。
住む家もなく、パートナーとは音信不通、実家も関係性や経済困窮によって孤立している人々など、こんなにも多くの女性が社会の闇に留められている現実が、この日本にもあると知り、驚きました。
現在では相談窓口だけではなく、出産前後の生活から自立まで支援するマタニティホーム「Musubi」を全国で初めて設立し、サポートを受けながら子供を産むと選択した人、特別養子縁組で育ての親に預けると決断した人のエピソードをまとめた本『小さないのちのドアを開けて』も出版されました。

2019年のインタビューに永原さんはこのように答えています。
「これはクリスチャンの働きだと思います。神様と養子縁組をしている私たちから冷たい社会を変えていかなければ。イエス様が、『この小さないのちをどうするのだ?』と、聞いておられるのですから」。

洗礼を受けると、私たちは神様の子とされます。
それは、神様が私たち人間をどのように愛しておられるのかということを端的に表しています。
ひとりひとりの命を尊ぶ神様の愛が、キリストの福音には込められているのです。
私たちもまた隣人に関わる時、永原さんが聞いたこのイエス様の問いを思い返したいものです。