2022年4月4日月曜日

牧師エッセイ(2022年4月)

ラファエロ・サンティ
《キリストの復活》

2018年に日本で上映された『リメンバー・ミー』という映画があります。
主人公の少年ミゲルが「死者の日」を境に死者の国をさまよい、自分の家族の先祖に出会っていくというストーリーになっています。
家族の絆を感動的に描いたこの作品は、実は脚本の初期段階では全く違うストーリーであったことが明かされています。

劇中の「死者の日」着想の基となっているのはメキシコの伝統行事であり、監督は現地にて徹底的に文化の調査を進めつつ、この作品を作っていきました。
初稿では主人公ミゲルが死者の国で亡くなった母と再会し、ミゲル自身が母の死を受け入れて母と別れを告げる、というストーリーでした。
しかし深く調べていくうちに、この儀式は死者との別れ、死者を忘れるための儀式ではなく、死者を迎え入れることによって、死者を決して忘れないための儀式であるということに気が付いたのだそうです。
それゆえ、完成版は初稿とは真逆の脚本となったことを明かしています。

教会では毎年この季節、イエス・キリストが死者の中から復活されたというイースターが祝われます。
キリストが復活されたのは、キリストを信じる者がこの世の罪をすべて赦されるだけではなく、永遠のいのちを与えられるためでありました。
それは、この世における私たちの関わりが、死によって断ち切られることがなく、神の国において永遠に保たれるということでもあるのです。
地上の別れが決して悲しみに終わらないという福音が私たちに与えられていることを、復活の主の御言葉から受け取ってまいりたいと思います。